くず

日本を代表する100年企業・シャープと台湾大手の鴻海精密工業の正式契約を前に発覚した、恥さらしな大問題。
あまりに情けなく、あまりに信じられない展開で……日本人の一人として顔から火が出る思いです。

正式合意まであと1日……。
そんな時点で降ってわいた「偶発債務」の問題。皆さんもニュースで見ただろうと思うので少しだけ解説しておきます。

企業などが買収したりされたり、経営統合する場合、どのような利益がもたらされるのか? そしてもちろん「どのようなリスクが生じるのか」は可能な限りの正確な説明が必要となります。

今回の買収劇で、鴻海は間違いなくシャープに対してできる限りの礼儀をもって接してきてくれていました。それは我々ニュースを伝えている側にも十分に伝わってきているものでした。
従業員の保護。資金のねん出。「シャープ」と言う名前へのリスペクト。素晴らしい相手に恵まれたものだ……と感心したものでした。

しかし、進む買収劇の裏側で、鴻海はシャープにある資料を出せ、出せ、と言い続けてきていたのです。それが「潜在的なリスク」ともいうべき「偶発債務」の金額です。

シャープが鴻海に買収されれば、株価が今までのデータから見ると、これだけ下がってしまうかもしれない。力を入れてきた太陽光の解約が進むかもしれない。そうなるといくらの債務が発生するのか……?

このように、現在あるだけではなく、潜在的に潜むリスクを「偶発債務(ぐうはつさいむ)」と言い、世界的な買収やTOBの世界で、基本的に行われるデューデリジェンスという作業の中で明らかにされるのが普通なのです。
その「偶発債務」の情報だけを……シャープは今まで鴻海側の求めに応じず提示してこなかったのでした。

我々テレビ大阪の報道部の取材の結果、なんと……よりによって正式合意の前日になって、いきなりメールで(口頭の説明もなく)これだけの「偶発債務があります」と連絡してきたというのです。

客観的に見てシャープをかばう論調も一部ではあるようですが、大阪でこの1年、密着して取材をしてきた我々テレビ大阪取材陣から言わせれば、その論調はちょっと違います。
今回の件は完全にシャープの失態です。台湾でも取材を行った結果、新聞でも大見出しでシャープであり日本が批判されていました。顔から火が出る思いです。

なぜ、もともと「出してほしい」と何度も催促されていたにもかかわらず、「その情報だけを」出さなかったのか? 鴻海をなめていたのではないか?

さらに、我々の独自取材で、シャープは「経営陣」「広報室」「現場」のガバナンスがもはやほとんどとれていない状況が明らかになってきました。
また、最新情報としては、29日に予定されていた最終合意ですが、現段階(26日午後3時段階)で、シャープサイドとしてはすでにあきらめたという内部情報をつかみました。

大手の企業買収の場合、経営時の利益だけではなく可能性も含めての不利益は提示することは当然のことです。
その程度のことが全く出来なくなっている大企業、シャープ。本当に再生できるのか、不安でなりません。

http://news.ameba.jp/20160226-712/


シャープに3500億円の偶発債務、フォックスコンが買収を見合わせ
http://www.xinhuaxia.jp/business/87780

【シャープ、正式合意の前日に3500億円の債務があったとメールで報告】の続きを読む